富士フィルム/Fuji Film=ゼロックス/Xerox
お洒落ストラクチャー
- Fuji Xerox(JV)がデット原資に富士フィルム保有の全自己株買い(75.0%)してXeroxの完全子会社に
- 出来上がりの持分調整のために、ゼロックスは既存株主に特別配当実施(USD 2.5bn)
- 富士フィルムはFuji Xeroxから来たキャッシュを使ってゼロックスに第三者割当(50.1%)
- ゼロックスはその第三者割当のキャッシュを使って富士ゼロックス(JV)が借りたデットを返済
https://www.fujifilmholdings.com/ja/investors/pdf/other/ff_irnews_20180131_002j.pdf
http://carlicahn.com/joint-statement-with-darwin-deason-regarding-xerox-3/
ポイント
- 富士フィルムは、キャッシュアウトなしに旧Xerox+Fuji Xerox(JV)のマジョリティ(50.1%)を取得(代わりに75%保有していた富士ゼロックス(JV)の持分をXeroxに譲渡している)
- 取締役構成比は富士フィルム7:ゼロックス5、トップは富士フィルムトップが兼任、よって株式持分(50.1% vs 49.9%)ほど対等ではない、富士フィルム有利
- コントロールプレミアムへの支払いも低い(Implied +5.8%)
- 富士フィルムは自己株買いに伴うみなし配当享受(益金不算入)、タックスインパクトが小さいストラクチャリング
- 富士フィルム側で株主決議不要、過半数の持分を第三者割当するXerox側では必要
- Xeroxの大株主(9.7%)はアイカーン(著名アクティビスト)、Xeroxに対し身売りを提案(誰にだよという感じはあるが)
- Xeroxは引き続き上場維持(富士フィルムとゼロックスの親子上場)
- Xerox株主は対価としてキャッシュ(特別配当)と新会社株式、富士フィルムが50.1%を取得するので既存株主はXeroxへのコントロールを失う
- 少数株主保護のために、グループ内取引監視のための独立取締役で構成されるコンフリクトコミッティ設立(ボードも過半が富士フィルムな状況でワークするのか?)
- 従業員の大量レイオフ(1/4くらい)、コストシナジーの実現(USD 1.7bn)
- Private benefits(大株主vsマイノリティ株主)とAgency costs(取締役vs株主)のトレードオフ、Private benefitsによる企業価値へのマイナスインパクトのほうがAgency costsによるマイナスインパクトよりも小さいという判断
- Xeroxは筆頭株主だったアイカーンを気にせず、富士フィルム傘下で長期的目線での成長戦略/投資が可能に(MBO的ベネフィットの享受+少数株主と大株主とのコンフリクトの発生)
プレミアム低い