Simple and Clean

このブログは、いわゆるドメな日本人がMBAトップスクールに入るためにはどうすべきか、 という観点にフォーカスしており、私の経験/集めた情報をまとめたものです

MBA受験3(受験校選定)

 

1. 志望校の内訳

自身の夏におけるスコア状況、他の社費生の人数/状況、各人のリスクアペタイト等によってどの学校を自身の志望校とするかは、非常に個別性が強いものであることは理解しております。本ブログにおいては、トップスクールを目指す前提で、夏時点でTOEFL スコアを100 前後は確保している(2nd ラウンドまでに105 前後までスコアが上がる/GMAT680 以上であろうという自信がある)と仮定した場合のリコメンドについて述べたいと思います。

 

だいたいの受験生はエッセイの対応等から、一人当たり6 校程度を受験することが一般的で、これ以上の学校数を受験するとなると一校あたりの情報収集が薄くなる恐れがあります。この受験校6 校の内訳ですが、トップスクールを目指す一方で、社費の方の場合はどこにも受からないことは避けなければいけないと存じます。そのため、夏時点での志望校の想定は、ある程度バランスよく志望校を組み合わせること、具体的には、トップスクール2-3校、中堅校2-3 校、滑り止め1 校の計6 校が夏時点の初回の志望校選定においては望ましいと思料します。なおトップスクールや中堅校の定義については後述しておりますので、そちらをご参照ください。

 

なお1st ラウンドにて出願した場合、12 月中/下旬には合格発表が行われます。1st ラウンドで合格した場合には当該合格校よりも志望度の低い/ランキングの低い学校を自身の受験校から外し、より高いランキングの学校へと入れ替えることが2nd ラウンド前に可能となることから、最終的には受験枠6 校のうち、トップスクールの比重を高めることも可能となります。もちろん、2nd ラウンドまでの期間がタイトとなりエッセイ/推薦状準備が非常にタフになる点には留意が必要です。

 

MBA 受験においてはたとえスコアが揃っていたとしても、全てのトップスクールに受かるわけではないため、できる限り数多くのトップスクールを受験することが重要であると思料します。そのため、もし夏時点でTOEFL110 以上/GMAT700 以上を揃えており、英語のスピーキングにも自信がある候補生であれば、6 校のうち5 校をトップスクールで固めてしまうことも検討すべきだと存じます。

 

2. トップスクール/中堅校

グローバルにトップスクールと言われている学校は、主にM7 と呼ばれる米国の上位7 校(HBS/Stanford/Wharton/Columbia/MIT/Chicago/Kellogg)に欧州のLBS とINSEAD を加えたものだと認識しております(なおINSEAD は1 年制なので、事実上は8 校)。これはビジット先で会ったアメリカ人や中国人、インド人も同じような感覚を持っておりましたので、そこまで違和感のないものだと理解しています。

 

トップスクールに次ぐ中堅校の考え方としては、S16 と呼ばれている米国の学校群から、上記のM7 を除いた9 校(Haas/UCLA/Yale/Tuck/NYU/Duke/Darden/Cornell/Ross)を指すことがグローバルでは一般的のようです(なおHaas やTuck についてはブランド力の高さから日本においてはトップスクールという認識)。

 

前述した受験校6 校の内訳として、上記のトップスクール/中堅校から5 校、さらに下位校から滑り止めを1 校押さえておくのが望ましいと思料いたします。

 

3. 合格者数

近年、HBS やWharton が日本人の合格者数を以前よりも多めに出す傾向が強くなっており、最終的に各校10-15 名程度が入学する傾向となっております。またLBS やKellogg も毎年10-15 名程度が入学しており、これらのトップスクールだけで40-50 名程度の入学者が存在していると考えられます。

 

一方、いわゆる中堅校においては、その年度にもよりますが、各校数名(多くて5 名)程度の入学者となっております。これは中堅校が合格者数を絞っているということではなく(もちろんHBS やWharton は学校の規模が大きいという面もあるが)、複数校合格しているトップスクール合格者が合格辞退しているがためにこのような人数になっているものと推察されます。実際、MBA 受験でStrong candidate の三菱商事外資系コンサル、官僚等の受験生は、特段受験枠等の制限がないことから、6 校以上受験している人間もある程度いる状況で、ほとんどのトップスクール合格者が複数の中堅校の合格を辞退している形となっております。

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Source: Axiom 日本からのMBA留学生数の推移 | 外資系・MBAの転職・求人ならアクシアム|AXIOM

 

上記からお分かりの通り、中堅校とは言えど、競争相手はトップスクールに合格するような受験生であること、また一部のトップスクールは社費生を好んでいる部分もあることから私費のハイスコア組との戦いとなることもあり、そう簡単に合格することができるわけでない点に留意が必要です。


また近年、日本人受験者のスコアの平均点が上がってきている印象があるとAgosや濱口塾、Affinity や複数のカウンセラーも異口同音に口にしていることから、スコアへのプレッシャーはより厳しくなっている点にもご留意ください。

 

4. 社費生が受かりやすい/受かりにくい学校

社費での受験の場合、受験先を決めるに当たっては、まず過去において社費からの合格者が数多く出ている学校をリサーチし、特に自社への評価が高い/自社の社費生が受かりやすいと思われる学校に当たりをつけることが重要だと考えます。また合わせて、私費生よりも社費生を優先して取っていると思われる学校や、自身のバックグランド(金融等)出身者を避けていると思われる学校についても把握しておくことが、受験先を決定するに当たって肝要であると存じます。

 

  • 私見ではありますが、特にMITは社費を優遇している傾向(テストの点が平均より劣後していた場合でも合格する等)にあると思われます。NTTや野村證券大和証券からは毎年MITに一人は入学するという噂もあります。
  • Kelloggも大和証券が枠を持っているとの話も聞いたことがあります(アルムナイに大和証券出身者が非常に多いのもうなずける)。
  • またHBSやWhartonも三菱商事三井物産の受験生がよく入学してるとも聞きますが、これは社費という以上に彼らが非常に強い受験生(スコア、ユニークなエッセイ/バックグラウンド、GPA等)だという点も挙げられるかと思います。
  • Stanfordは非常に厳しく、近年は日本人はほぼ女性の帰国子女で、官費(官僚)か外資系コンサル(マッキンゼー)の社費がほとんどのように見受けられます。
  • 金融系の社費はアントレ思考の強いHaasではあまり見ないようです。
  • Columbiaはアーリーラウンドを重視しているので、スケジュールの観点から社費はトップスクールの中ではやや不利/少なめとも聞きます(社費は夏ごろに選ばれることが多いのでアーリーの9月に間に合わせるのはかなりタイト)。

 

私費と社費の受かりやすさについては、おって詳細を記載したいと思いますが、個人的には、社費の受験生はそもそも受験生が私費生よりも数が多く(実際に受験するまでに至っている数)、リアプリの選択肢がないので(ケツに火がついている状態)、実際にスコアをしっかりそろえ、先輩ネットワークから学校の情報取集をしっかりしており、エッセイのキャリアゴールもリーズナブルかつ現実的なので(社費なので戻る前提)、私費の方々よりも受かっている数が多くなっていると思います。

 

5. Safety School

私費での受験の場合、あまり滑り止めに行くという発想はないかと思いますので、ここでも社費での受験生にフォーカスします。

 

比較的アグレッシブな受験校選択をトップスクール/中堅校から行う場合には、滑り止めの学校をどこにするかは全落ちを避けるために極めて重要となります。Safety School(滑り止め)をどことすべきかについては、ランキングのみならず、ロケーション(都会vs 田舎、気候)、ご家族の意向、物価等を勘案したうえでご判断されることが望ましいとは存じますが、何よりも重要なのは社費生であれば多少スコアが劣後していたとしても合格させてくれる学校であるかどうか、だと思います。

 

このあたりの情報も過去の合格者数の推移を確認して判断することが望ましいと存じますが、社費生の間でよく言われているのは、EmoryはUSランキングで20前後と高い水準でありながら、日本人の社費生をかなり優遇(10 名以上入学、私費生はいない)しており、TOEFL100 以上/GMAT600 前半あれば受かる可能性がかなり高いとされ、アトランタという都会かつ温暖な地域に位置しており住みやすく個人的にも非常にお勧めする学校です。

 

 6. 受験校の変更

前述の通り、1st ラウンドで中堅校に合格することができれば、全落ちの危険はなくなるため最大限リスクを取って、当該合格校より志望度の低い学校をトップスクールに入れ替えることが、トップスクール合格を目指すに当たっては望ましいと存じます。

 

なお記載の通り、2nd ラウンドまでの期間がタイトとなりエッセイ/推薦状準備が非常にタフになる点にはご留意ください。おそらく年末年始はエッセイの対応に追われることになろうかと思います。

 

7. 米国以外の選択肢

本ブログはトップスクールを目指すための対策にフォーカスしていることから、米国の学校を中心に記載してきましたが、自身のGMAT スコアが米国の学校のmid80%レンジに届いていない場合には、米国以外の学校、トップスクールであればLBS を検討するというのも一案かと存じます。

 

LBS の特殊性/米国の学校との違いについては後述いたしますが、米国の学校は非常に点数至上主義(GMAT)だと感じており、欧州系の学校はGMAT が600 後半であっても(700 に達していなくとも)合格している受験生が一定程度存在しております。LBS については大多数が700over ではあるものの、600 後半の人間も少人数でありますが毎年存在しています(LBS の日本人公式ブログに過去の合格者のスコアが記載されています)。LBS はたとえGMAT が700 後半であっても不合格となり、600 後半の人が合格しているというケースが私の周りで散見されたことから、US に比べGMAT をそこまで重要視していない(英語での会話力やエッセイやインタビューのほうをUS よりも重視している)ように思われます。

 

これはUS News MBA Ranking という米国で最も古いかつ一般的な(最も参照されている)、米国の学校のみを対象としたMBA ランキングにおいて、GMAT スコアが学校のランキング/順位に多大な影響を与えているからだと言われております(米国以外の学校は当該ランキングの対象外)。

Best Business School Rankings | MBA Program Rankings | US News

 

また学校にもよりますが、大多数の学校はアドミッションではなく、アルムナイによるインタビューであることから、面接のプロではない日本人のアルムナイインタビューでのフィードバック結果をアドミッションオフィスがそこまで信用していないのではないか、という噂も聞きました(なお、一方でエッセイの量が数年前に比べ激減していることから、その分インタビューを重要視しているのではないかという噂もあり)。実際、Kellogg のインタビューにおいて、私の友人(社費)はスコアも揃っており、インタビューでも面接官である日本人アルムナイから絶賛され君が落ちるのはありえないとまで言わしめたものの、結果的ウエイトになってしまったという話もあります。

 

8. 最終的な受験校の絞り込み

前述した事項に加え、17 校あるトップスクール/中堅校からの絞り込みにあたり考慮すべき事項としては、他の社内の社費生の状況/志望先、近年の自社の社費生の合否状況、各校の強み(ファイナンスマーケティング、ジェネラルマネジメント、アントレ等)、ロケーション(都会vs 田舎、気候)、ご家族の意向、物価等だと思料します。

 

また自社から社費ではなく、私費という形で受験する方もいらっしゃるケースもあるので、その点についても確認しておくことが望ましいと存じます。

 

各学校は、多様性の観点から、同じ会社から複数人受験したとしても1 人しか合格させないのではないかという懸念も当初は持っておりましたが、少なくとも私の代は私の知る限り、HBSやWharton、LBS 、Columbia に同じ会社から複数人合格しておりますので、受験先がバッティングすることについてはそこまで懸念する必要はないのではないかと思います。

 

 

MBA受験

1. 重要事項サマリー

2. スケジュール

3. 受験校選定

4. その他Tips(ビジットのタイミング、推薦人、GPA、参考となるWebサイト、フルブライト奨学金、自習室、業務との両立)

5. テスト対策TOEFL/IELTS/GMAT/GRE

6. カウンセラー

7. エッセイ/インタビュー